愛犬家に衝撃を与えたペットフード事件
2007年3月に、アメリカである事件が起こりました。
その事件とは、ペットフードを口にした犬や猫が2日以内に立て続けに死亡するという悲惨なものです。
こうした事件がアメリカでかなりの数報告されたため、米国食品医薬局や米国農務省といった機関が事件の解明に乗り出しました。
そのような流れを受け、ペットフードのメーカーは商品の自主回収を余儀なくされました。
その数はおよそ6000万個にも上り、自主回収の対象となったペットフードの種類は99種類にも上りました。
メラミン以外にも検出されたものがある
事件の調査により、接着剤などに使われる合成樹脂の原料「メラミン」が検出されたことがわかりました。
メラミンは有毒な物質ですが、その他にも殺鼠剤として使われるアミノプテリンや、プールの殺菌に使用されるシアヌル酸、解熱鎮痛薬のアセトアミノフェンが検出されました。
アセトアミノフェンはとくに猫に有害であり、猫の場合はたとえそれが微量でも口に入れれば死に至ってしまいます。
こうした有毒な物質が「混入」したと表現すると、メーカーにはその意図がなかったというイメージにありますが、実際のところメラミンは混入ではなかったのです。
タンパク質含有量を多く見せるために
ドッグフードに使われる小麦グルテンにメラミンを加えると、タンパク質含有量をアップさせることができます。
AAFCOという表記で知られる米国飼料検査官協会と言われる期間がありますが、そこのテストをクリアすれば、その点がペットフードとしてのアピールになります。
そのメリットを得たいがために、有毒であるメラミンを小麦グルテンに加え、それが結果として犬・猫の大量死につながってしまったということです。
この事件が与えた影響は大きく、日本のペットフード安全法という法律もこれがきっかけとなりました。
しかし、安全法という法律があるにも関わらず、いまだすべてのペットフードが安全とは言い切れない状況が続いています。